経営者にとって経費削減は経営における重要課題といえるでしょう。
経費削減をすることによって利益率が向上するというメリットがあります。
この記事では経費削減のポイントや成功事例について紹介します。
合わせて、やってはいけない経費削減も紹介するので経費削減のアイデアを出す際の参考としてください。
正しい経費削減でスリムな企業経営を実現しましょう!
<この記事で分かること>
・経費削減はなぜ必要?
・経費削減のポイントとは?
・やってはいけない経費精算とは?
・経費精算の具体例とは?
経費削減はなぜ必要?
経費削減をすることで会社の無駄な費用をカットして会社の成績を向上させられます。
経費は事業のために必要な支出を指しますが、用途によって削減できるポイントが異なります。
ここでは、経費削減の効果や経費の項目について確認しましょう。
経費削減とは
経費とは会社の事業活動において支出した費用のことです。
会社の利益は「収益から費用を差し引いたもの」という計算が基本です。
利益を高めるためには利益を上げるか費用を下げることによって利益を高められます。
経費削減をすることで会社の出費を少なくして損益計算書上の利益が向上します。
無駄な出費を見直すことによってスリムな企業経営を実現できるでしょう。
利益率をアップ!
経費削減をすることで利益率をアップできます。
利益率とは売上高のうち何パーセントが利益であるかを示す指標です。
利益率をアップさせるためには利益を増やすか費用を減らす必要があります。
利益率には3種類あり、以下の式で計算されます。
<利益率の計算方法>
売上総利益率=売上総利益÷売上高
営業利益率=営業利益÷売上高
純利益率=当期純利益÷売上高
「経費削減」と「節減」の違い
経費削減と似た概念に「節減」という考え方があります。
節減とは細かいところを切り詰めるときに使われる言葉です。
例えば、オフィスの電気を暗くして電気代を節減するといった使い方があります。
一方で、経費削減は事業にかかる経費を抜本的に失くすときに使う言葉です。
例えば、事務所を畳んで事務所の賃料を減らすことは経費削減に該当します。
節減は現状でかかっている費用を減らそうという現場レベルの取り組みです。
一方、経費削減は経営の意思決定が必要になる取り組みとなります。
経費にはどんなものがある?
会社で使用する経費にはどんなものがあるでしょうか?
以下は会計上で使用される経費の一覧表です。
なお、原価計算上における経費とは「製造原価のうち材料費と労務費(人件費)以外の出費」を指します。
経費の種類 | 内容 | 例 |
---|---|---|
旅費交通費 | 出張などに使う旅費や交通費 | 電車賃、タクシー代など |
交際費・会議費 | 業務上の接待などに使った費用 | 贈答品の購入費、飲食代など |
消耗品費 | 10万円以下の少額な備品 | 文房具代、少額のパソコンなど |
通信費 | 通信のために必要な費用 | 電話代、インターネット料金、クラウドサービスの料金など |
荷造運賃 | 荷造をするための費用 | 運送料金、荷造りの段ボール費用など |
水道光熱費 | 電気代などエネルギーにかかる費用 | ガス代、電気代など |
広告宣伝費 | 広告のために必要な費用 | 広告掲載料金など |
福利厚生費 | 企業が従業員のために使う費用 | 健康診断の費用など |
租税公課 | 国や地方に納付する公的な出費 | 収入印紙税など |
雑費 | その他の費用 | 少額の手数料など |
企業会計においては経費を勘定科目ごとに管理することで経費の使用状況を明らかにします。
前期から明らかに高くなっている項目などは無駄遣いしていないかチェックが必要です。
経費削減しやすい項目とは?
経費削減しやすい項目として以下4点が挙げられます。
- 旅費交通費
- 交際費・会議費
- 消耗品費
- 水道光熱費
これらの項目は現場レベルの意識を改善することで経費の金額を減らせます。
また、経費精算に関する社内規定で過剰な経費を使うことを防げるでしょう。
例えば、交際費の使用に関して上限を定めておくことで過剰な接待や交際を減らして経費削減に繋げられます。
経費の使用は事業において必要なものですが、過剰に使用することは会社の業績を圧迫してしまいかねないため注意しましょう。
経費削減のポイント
経費削減をする際には無駄な出費を減らすことで効率的にお金を使えます。
経費削減をするポイントとして、以下4点が挙げられます。
- 固定費を削減する
- ペーパーレス化を進める
- 経費精算システムの導入
- 外注費を見直す
経費削減のポイント1.固定費を削減する
経費削減のポイントは固定費を削減することです。
固定費とは売上の大小に関わらず毎月かかってしまう費用です。
例えば、事務所の賃料や電気代などの光熱費は事業を運営するうえで必ず発生します。
売上に影響のない範囲で固定費を削減することで毎月の経費を削減できるのです。
働き方改革による固定費削減
固定費のなかでも大きなウェイトを占めるのが人件費です。
人件費を削減するためには人員の削減や残業時間を減らすといった方法があります。
残業時間を減らすためには生産性を向上すること、ノー残業デーの呼びかけなどが効果的です。
経費削減のポイント2.ペーパーレス化を進める
経費削減の方法として有効なのがペーパーレス化の推進です。
ペーパーレス化とは文字通り紙の仕事を削減して電子ファイルでの保存を心がける取り組みです。
ペーパーレス化をすることによってコピー用紙やインク代の経費が削減できます。
備品代を節約できるだけでなく、ファイリングするためのスペース代やファイリングにかかっていた工数も削減可能です。
経費削減のポイント3.経費精算システムの導入
経費精算システムを導入することによって経費を適切に管理できます。
経費精算システムとは経費精算に必要な申請から経費の貴重まで管理できるツールです。
経費の使用状況を明らかにできるため、経費の無駄遣いを洗い出せます。
経費削減をするためには経費精算システムで経費の使用状況をチェックしましょう。
経費削減のポイント4.システムや外注費にかかっている経費を見直す
経費削減をするにはシステムや外注費にかかっている経費を見直すことが効果的です。
使っていないシステムをそのまま放置していると使用料だけかかってしまいます。
システムの利用状況をチェックして、使っていないシステムは解約するようにしましょう。
また、業務の一部を外部の業者にアウトソーシングしている場合は本当に外注が必要かどうか見直すことも必要です。
外注している業務の一部を内製化できれば外注費を削減できる場合があります。
やってはいけない経費削減とは?
経費削減をすることでやりがちなのが「削減しなくてもいい経費まで削減してしまうこと」です。
経費削減をすると会社の費用は減らせますが、削減した費用以上に利益が落ちてしまうことがあります。
また、経費削減をすることで製品やサービスの品質や従業員の士気が下がってしまうことにもなりかねません。
ここでは、やってはいけない経費削減の例として以下3点を紹介します。
- 必要な経費を削減してしまうこと
- 品質や士気の下がるコストカット
- システムのグレードダウン
必要な経費を削減してしまうこと
経費は事業活動に必要であり、売上などの利益を得るために必要な支出です。
事業に必要な経費まで削減してしまうと利益を獲得する機会が減ってしまいます。
利益が減ってしまうと利益率が下がってしまうことにもなります。
経費削減をする際に慎重に検討するべき勘定科目として以下3点を見ていきましょう。
- 研究開発費
- 広告宣伝費
- 研修費・採用教育費
利益率を向上させるために経費削減をするにも関わらず利益率を下げてしまっては本末転倒です。
経費削減をするためには「本当に削減する必要があるのか?」ということに注意しましょう。
研究開発費
研究開発費は新技術や新製品を生み出すために使われるお金です。
短期的に見ると研究開発費は直接的に収益をあげているわけではないため、無駄な経費と思うかもしれません。
しかし、長期的に見ると研究開発費は収益アップあるいは費用削減に欠かせない費用です。
研究開発費を見直す時は収益性をチェックし、むやみに削減することは避けましょう。
広告宣伝費
広告宣伝費は製品やサービスを不特定多数の人に向けて宣伝するための費用です。
Web広告や新聞やテレビCMなどのメディアを通じて製品やサービスに関心を向けてもらうために必要な経費といえます。
広告宣伝費は管理費として固定費と扱われることが多いです。
そのため、経費削減の一環として広告宣伝費を削減してしまう方が良いと思うかもしれません。
しかし、広告宣伝費を削減してしまうと新規の顧客が減少してしまう原因になってしまいます。
研修費・採用教育費
研修費や採用教育費は従業員を育成するために必要な費用です。
人材を育成する費用をカットしてしまうと人材の質も下がってしまいます。
人材の質が下がると会社としての収益力も低下してしまうため、研修費や採用教育費を削減するのは控えた方がいいでしょう。
品質や士気の下がるコストカット
サービス品質や従業員の士気を下げるようなコストカットはやめましょう。
商品やサービスの品質が下がってしまうと顧客からの信頼を損ねてしまい、収益が低下してしまいます。
また、従業員の士気が下がると能率が下がってしまってしまいかねません。
過度な経費削減は離職の原因に繋がってしまうこともあるので注意してください。
システムのグレードダウン
システムをグレードダウンすると固定費を削減できます。
しかし、システムをグレードダウンしてしまうことでサービス品質が低下したり作業能率が下がってしまうことがあります。
作業能率が下がると工数が増えてしまい、かえって経費が増えてしまうことにもなりかねません。
システムのグレードダウンを検討する際はシステムを利用するユーザーの影響も考慮に入れましょう。
経費削減の成功事例
経費削減に取り組むためには具体的にどのような取り組みをすればいいでしょうか?
経費削減の成功事例として「経費精算システムの導入」および「ペーパーレス化の推進」を紹介します。
経費精算システムの導入で経費削減を実現
経費精算システムを導入することで経費削減を実現できます。
経費精算を自動化すると業務効率化が達成されて経費精算にかかっていた工数を削減できます。
また、経費の使用状況を明らかにできるため経費の無駄遣いを可視化できるのです。
経費精算システムには経費の自動入力や会計システムとの連携など、業務効率化に役立つ機能が搭載されています。
電子帳簿の保存にも役立つため、ペーパーレス化の推進も役立ちます。
<経費精算システムの主な機能>
・経費精算の自動化
・ペーパーレス化の実現
・経費の使用状況を可視化
ペーパーレス化を推進して経費削減を実現
経費精算を進めるうえで避けて通れないのがペーパーレス化です。
ペーパーレス化はこれまで紙で行っていた業務を見直し、電子データでの保存を推進します。
電子ファイルでデータを保存することによって文書の保管スペースが不要になるほか、電子データで検索しやすくなるなどの利便性も向上するでしょう。
また、環境資源である紙の消費を削減することで環境保護やSDGsに取り組んでいる企業としてのPRもできます。
これまで紙で行っていた業務をペーパーレス化することは簡単ではありませんが、ペーパーレス化によるメリットは経費削減のほかにも大きな効果があるのです。
<ペーパーレス化によるメリット>
・文書の保管スペースが不要になる
・文書を検索しやすくなる
・ファイリングにかかっていた工数を削減できる
・環境保護やSGDsに貢献できる
正しい経費削減でスリムな企業経営を実現しよう!
経費削減は企業の利益率を高めるために欠かせない経営戦略です。
経費削減を進めるポイントとしては固定費を削減することが挙げられます。
使っていない無駄な固定費を削減すれば企業の利益率も向上するでしょう。
経費削減の注意点としては、品質や能率が下がってしまう経費削減は避けてください。
経費削減をする際は無駄な経費をチェックすることが重要です。
今回紹介した経費削減のポイントを活用してスリムで効率的な企業経営に役立ててください!
<まとめ>
・経費精算をすることで企業の利益率を向上できる
・経費削減のポイントは固定費を削減すること
・製品やサービス品質や従業員の士気が下がるような経費削減は控えよう
・経費精算システムの導入やペーパーレス化の推進によって経費削減を進められる